「普通の」サークルに潜む危険

背後にカルト団体が存在しているわけではない偽装サークル以外のサークルにも注意すべき危険な点は存在します。自治会や偽装サークルはいかにも怪しさを醸しだしており、直感で接触を避ける学生も多いと思われます。その点では、むしろ「普通の」サークルにこそ注意を払ったほうがよいとさえいえるかもしれません。

女子を狙った強引な勧誘

春は新入生歓迎シーズンで、キャンパスのいたるところで、あらゆるサークルによる熱心な勧誘活動がなされています。注意したいのは、公認サークルであるかどうかを問わず、特に女子を狙った強引で悪質な勧誘が見られることです。複数の男子でキャンパス内を歩いている女子にしつこくまとわりつき、道の端に追い詰めた上で自分たちの意に沿った答えを返すまで離さないような卑劣な勧誘を行っている団体も存在します。このような勧誘は人権を無視した反社会的なものであり、カルト団体となんら違いはありません。そのような団体は、特に集団での飲酒が主な活動になっている「飲みサー」、甚だしくは女子からの性的搾取を目的とする「ヤリサー」のような傾向を持っている可能性があります。そのようなサークルに関わったことによって、カルト団体と同じく、学業が疎かになり、生活もむちゃくちゃになり、貴重な学生生活が台無しになるおそれがあります。

ストーム

鹿児島大学には、「ストーム」という、仲間内で芋焼酎の一気飲みをして自己紹介をするという伝統行事のようなものがあります。このストームは、学生たちの所属しているサークルなどの団体への帰属感や結束力を強めようとしたり、また、新入生の団体への所属を承認する、ある種のイニシエーション(通過儀礼)的な役割を狙っていると考えられます。

 

ストームの問題点は、しばしば上下関係を利用して、アルコールに弱い人にまで強要されたり、アルコールによるリスクが説明されなかったり、そもそも法律によって飲酒が禁止されている未成年にまで薦められていることです。アルコールに耐性がある人であっても、一気飲みは急性アルコール中毒のリスクを高めます。救急車で運ばれたり、 死亡するケースがあってもおかしくありません。また、女子学生が酔わされて無防備になったところで性行為を強要されるというケースもありうるのです。

 

鹿大には学生の自由を尊重する風土があり、夜間のキャンパスやサークル棟への立ち入りや、サークル棟での飲酒も処罰されていません。しかし、今後事件、事故が発生すると、大学による規制が強化され、せっかくの自由を失ってしまう事態になることも考えられます。

 

実際に、2015年には、部室で飲酒していた京都府立大学の未成年の女子学生が急性アルコール中毒によって死亡する痛ましい事故が起こり、学内での飲酒の全面禁止措置がとられました。

自由な学生生活を守り通すためにも、果たして自分の行為が正しいものであるのか、大学生としてふさわしいものであるのか、浮かれそうになりがちな状況でこそ、今一度胸に手を当てて「果たして自分一人ならこのようなことを行うだろうか」とよく考えるようにしましょう。

「飲みサー」を見分ける方法

鹿大のサークルがいわゆる「飲みサー」かどうかを見分ける簡単な方法があります。それは、法文学部近くにある「カラオケスマイル」という店のブログに写真が掲載されているかどうかです。「カラオケスマイル」は、通常のカラオケボックスではなく飲みサー御用達の店として知られていて、利用した学生の写真を「スマイルギャラリー」というページに掲載しています。このページに写真が載っている団体は「飲みサー」の傾向があると見て間違いないと思います。

 

なお、言うまでもないことですが現在の日本では20歳未満の飲酒は法律で禁止されており、20歳未満であることを知りながら酒類を提供した店には50万円以下の罰金が課せられます。